詩人の遠征 6    太陽帆走




詩人の遠征 6
八重洋一郎 著
太陽帆走

洪水企画発行 草場書房発売
四六変形判 並製小口折 80頁
定価(本体1600円+税)
ISBN978-4-902616-73-6  C0392
【詩歌】
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  八重洋一郎(やえ よういちろう)

1942年石垣市生まれ。東京都立大学哲学科卒業。詩人。詩集に『字彗』(1984年、第九回山之口貘賞)、『夕方村』(2001年、第三回小野十三郎賞)、『白い声』(2010年)、『沖縄料理考』(2012年)、『木洩陽日蝕』(2014年)、エッセイ集に『若夏の独奏』(2004年)、『詩学・解析ノート』(2012年)など。「イリプスU」同人。


『太陽帆走』あとがきより

考えてみると私自身には基本的な三つの経験があるように思う。その一つは死への恐怖、あるいは存在しないことへの恐怖である。これは実に激しく、今でもその恐怖に脅迫されてものを考えているような気がする。もう一つは「もの」がそのものだけとして眼にうつるという経験である。例えば「手」を見ると手以外のものが一切消え失せ、つまり手の働きや手の身体との関係などがすべて見えなくなり、手だけがそこにあるということだけが見えるというような現象。それがどういう事態であるか今もよく解らず、例えばサルトルの「嘔吐」などと似ているようにも思えるがそうとも言えず、その対象が「人」である場合は、言ってみれば離人症ではないかと思ったりもする。三つめは、これは前二つとは異なって極めて幸福(?)な経験である。ある些細な前触れのようなものがあって、しばらくして何かはるかな感じ懐かしいような感じが起り、時間の意識がうすれ、ああ、今自分は生きているのだ、自分は時間を超えた何かに結びついていて静かに動けなくなっているのだというようなやわらかい切ない気持になるのである。この幼い時から続いている基本的な三種の経験が、私の読解に何らかの作用を及ぼしていると思う。







                                                      

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