黎明のバケツ




平野晴子 詩集
黎明のバケツ

洪水企画発行 草場書房発売
A5判 並製本 87頁
定価(本体1800円+税)
ISBN978-4-902616-76-7  C0092
【詩歌】
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平野晴子(ひらの・はるこ)
1942年生まれ 山形県出身
方言詩集『雪の地図』、詩集『質問』
中日詩人会 詩誌「蕊」「加里」所属

 心の迷子になった夫との日々は、ときに滑稽、ときに闘争、ときに優しく、ときにゲームのようで、詩はそうした破れかけた生活の表情とそこから迸り出る真実を細やかに掬いとり、祈りをこめてうたい鎮める。成熟と冒険の第四詩集。



『黎明のバケツ』あとがきより

 病を得た夫のことは書きたくなかった。書くまいと思っていた。病名を告げられてから、七年間書けなかった。日常生活のあくせくのなかで書いていた私にとって、いつかは書く成り行きだったのかも知れない。ためらいの中で一つ書くと、ためらいが薄れ、夫と付き合う大切な方法となっていった。作品のほとんどは、ここ二年の間に書いたものである。
 夫の発する断片的な言葉、繋がらない行為、職場への執着、居ない人が立ち現れる妄想は、老いた脳と萎縮した海馬そのものの姿なのであろうか。言葉の瓦礫のような断片を拾うと、欠け口から、傷ついた真実のようなものが鈍く光っているようで、はっとさせられたりした。何の疑問もなく使用していた洗面所やトイレでの戸惑い、奇妙な行為は厄介であったが、日頃から時代遅れの人だったのでと諦めながら、ちゃかり題材にしてしまっていた。許されると思いたい。








                                                      

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